大会長挨拶


一般社団法人日本透析医学会 関連地方学術集会
第71回 長野県透析研究会学術集会

大会長 掛川 哲司
地方独立行政法人長野市民病院 腎臓内科部長

第71回長野県透析研究会学術集会開催にあたり

第71回長野県透析研究会学術集会のテーマは「腎代替療法のサステナビリティ」とさせて頂きました。
サステナビリティ (sustainability) とは「持続可能性」と直訳されます。第67回日本透析医学会学術集会のテーマが「透析医療のSDGsを求めて」でしたが、このSがSustainableです。リスペクトを込めつつ、拡大解釈させて頂きました。

世界に誇る日本の医療制度、皆保険制度は収支の面からその持続可能性について懐疑的な意見も耳にします。その中でも、透析治療の医療費はしばしば話題になり、対策として健康寿命を延ばすためのCKD対策が重要視されています。

働き方改革による医療スタッフの長時間労働や疲弊を避ける取り組みも、福祉の持続可能性を高める一つの取り組みと考えられます。

血液透析、腹膜透析、腎移植にCKM (Conservative kidney management) も含めてのSDM (Shared decision making) をもとにした患者主体の治療により、患者を取り残さない多様性のある医療の提供が期待できます。創造的な臨床コミュニケーションが患者満足度の高い、将来につながる持続可能な医療を提供できます。

自然災害の発生自体を無にすることは出来ませんが、災害を最小限にする事は可能です。経験と英知を結集して、災害時にも持続可能な医療と福祉を提供できる体制を将来にわたって構築する事が必要です。

第71回長野県透析研究会学術集会は、会場とオンラインのハイブリット開催とさせて頂きました。南北に長い信州においてオンラインでの学会参加はメリットが大きいと考えます。ただオンラインで会場の空気感をお伝えするのは難しい面もあります。
感染症流行下においても持続可能な、学会活動の新しい形を皆様と模索したいと思います。是非、当学術集会への積極的なご参加をよろしくお願い申し上げます。